日本ダービー回顧

メイショウサムソンの見事な二冠達成。終わってみれば皐月賞の1、2着馬が1、3着に入り、別路線のアドマイヤメイン、復活したマルカシェンクと、今までの着順をそのまま信じてみれば至極順当と言える結果だった。
アドマイヤメインが作ったペースは超スロー。前後半のラップが1分15秒2−1分12秒7と上がりの競馬。特に馬場を考えても前馬が粘るのは当然であり、追い込み馬は完全に封じられた。
石橋は実に落ち着いていた。2枠を生かし内ラチ沿いに素早く位置取り、あとは馬の後ろで我慢していればいいだけ。折り合いに不安の少ない馬なればアドマイヤメインの作ったペースは理想的であったろう。上がり脚がフルに生かせる展開なれば後ろから差されるはずもない。ゴール直前は抑える余裕すらあった。
今回一番強い競馬をしたのはドリームパスポートだ。直線ではどの馬も苦労する外をまくって直線半ばではメイショウサムソンに迫る勢い。だが同時にキレがある馬の弱点でもあり、それ以上せまることはできず、最後は少し離されての3着。危惧していた通り、少々後ろにつけすぎたきらいがあった。
期待したフサイチジャンクについては色々と文句もつけたくなるだろうが、これは完全な調整ミス。ジャリスコライトと共にまともに競馬できる状態ではなく、直線はおろかそれまでのいきっぷりも悪かった。多少出遅れながらも勝てるポジションをしっかりと確保した岩田はダービーの勝ち方は分かっていた。あとは馬の問題であった。
アドマイヤムーンは18頭中一番スタートが悪く、隣の枠のサクラメガワンダーは積極的に前の位置にポジションしにいくのを尻目に馬なりに任せてほぼ最後方に近い位置取り。この競馬ではどうしようもない。マルカシェンクは内枠を生かして早々とインコースを確保し、後ろすぎず中段につけられたベストの競馬。デキ8分ではこれが精一杯か。祐一は完璧に乗った。
今年のダービーは結果的に先行した馬にとっては実に楽な展開であった。石橋にしても、いいレースをしたとも言えるが逆に言えば焦りようもない展開で運も向いていた。
秋に向けて完全な勢力図が構築されたようにも一件見受けられるが、果たしてこの着順をそのまま信じていいとも言えない。前述したように私が評価するフサイチジャンクジャリスコライトは完全な調整失敗。この2頭に関してはダービーの結果は度外視していいだろう。そして残念ながらダービーに出走できなかったが、アエローザという本物が1頭控えている。菊花賞での展開を予想した場合にメイショウサムソンの三冠の可能性は高いが、ことクラシックディスタンスに関しては順位付けが済んだとは言えないだろう。他の新星にも期待したい。


さて、来週の安田記念でついに春の連続GⅠもフィナーレを迎える。臨戦過程からダイワメジャーが一歩リードしているが府中コースへの不安もある。鞍乗アンカツも不調だ。だがなんといっても問題は馬場状態だろう。ここ4週行われた府中でのGⅠを見ても明らかに内を確保した馬が有利。同じ舞台を制したダンスインザムードにはもう教科書はできている。枠によっては同じ競馬をすれば好走する確率はかなり高く、他の実績馬が順調にきているとは言えないことからも勝負度合いは高そうだ。